退蔵ドル 2016 10 15

 最近は、経済のニュースで、
「ドルの調達難」という記事を見かけます。
 実は、欧州においても、
「ドルが不足している」という話を聞きます。
 ドルについて考えるときは、
「アメリカ国内で流通しているドル」と、
「アメリカ国外で流通しているドル」と分けて考える必要があります。
 ドルが強い原因の一つは、貿易決済通貨であることです。
たとえば、日本が中東から原油を買うとしましょう。
この場合は、日本は、まずドルを調達して、
原油代金をドルで払う必要があります。
 中東の人たちにしてみれば、
原油代金を日本円でもらっても、困るでしょう。
そこで、代金をドルで要求するのです。
 このように、アメリカとは関係ないところで、
ドルの需要があるのです。
つまり、ドルは、「仲介通貨」としての需要が大きいのです。
 もう一つの要因として、「ドルのまま滞留(退蔵)」が考えられます。
たとえば、日本人が商品をアメリカ人に売った場合、
代金をドルで受け取りますが、
そのドルを日本円に換えないで、
口座にドルのままおいておくということです。
 ドルは、貿易決済通貨で何かと便利なので、
日本円に換えず、ドルのまま「保管(退蔵)」しておくのです。
 本来であれば、商品代金をドルで受け取ったら、
日本円に換える必要があります。
 商品を作るまでに原材料費や人件費がかかっています。
このような費用は、日本円で払う必要があります。
 ところが、商品代金をドルのまま「保管」しておくのですから、
このような費用を払うための日本円が不足します。
 そこで、日本は超低金利なので、
そういう費用を払うために、銀行から融資を受けるのです。
「ついでに円不足?だからデフレ?」
 話が脱線しましたが、
そういうわけで、最近は、ドルが強いのです。
 10年ぐらい前は、アメリカの財務長官は、頻繁に、
「強いドルは、アメリカの国益でもある」と言っていましたが、
最近は、そういうことは言わなくなりました。
「自信」を持ったからでしょうか?
 アメリカでは、リーマン・ショックという金融危機がありましたが、
その後に起こった「欧州金融危機」、つまり「ギリシャ危機」、
最近は、「ドイツ銀行危機」が耳目の話題を集めていて、
リーマン・ショックは、すっかり忘れ去られています。
 確かに、あの当時、「不動産バブル」(証券化バブル)というと、
多くの人がアメリカを連想しましたが、
実は、「不動産バブル」の度合いは、
アメリカよりも欧州の方が大きかったのです。
 「投資銀行」というと、アメリカを連想しますが、
実は、欧州も、投資銀行業務を積極的に行っていました。















































































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